妊娠中に寿司や刺身は食べてもいいの?【生魚がNGな理由とは】

妊婦は生魚を食べてはいけないの?

妊娠中は食べ物に何かと気を使ってしまうものですが、栄養を豊富に摂らなくてはいけないといわれる反面で、「生魚はいけない」という意見もあります。魚は貴重な栄養を含むタンパク源。妊娠中に食べてはいけないと禁止されているわけでないのですが、刺身や寿司などの魚は安全面にも気をつけなくてはいけません。

今回は妊娠中に寿司などの生魚を摂る際のポイントについて、まとめて解説していきます。

妊娠中に寿司や刺身はNGとされている理由

妊娠中の女性が寿司や刺身を避けた方が良いというのは、次のようなリスクが考えられるからです。

食中毒

加熱調理をしていない生魚には、腸炎ビブリオやリステリア、ノロウイルスなどの病原性の細菌が付着している可能性があります。妊娠中は免疫力が下がってしまう傾向があり、通常時よりも食中毒などに気を付ける必要があります。

水銀

海の中で生きる魚には、食物連鎖による濃縮で自然界に存在するメチル水銀を多く含んでいる魚がいます。通常であれば水銀は2ヵ月程度で体外に排出されてしまいますが、妊娠中は胎児の発育に悪影響を与えてしまうことが指摘されています。

糖質過剰

寿司はギュッと米を固めるために、思わぬ量のご飯を食べてしまいがちです。一説には、お寿司6~7貫でお茶碗一杯分のご飯を食べてしまうのだとか。寿司酢などに含まれる糖分もあるので、気付かないままに糖質過剰になってしまうリスクがあります。

アニサキス

魚介類には激しい腹痛や下痢、嘔吐などを引き起こす寄生虫、アニサキスが生息している可能性があります。しっかり加熱すれば問題はないのですが、生魚の場合はアニサキスが生きたまま流通しているリスクがあるので、妊娠中は特に注意が必要なのです。

妊婦には食中毒や寄生虫に対しての処置ができない!

寿司や刺身などの生魚を食べたことで食中毒になった場合、下痢が長引けは子宮収縮を招いて流産のリスクが高まります。アニサキスの場合は生きた寄生虫が体内に入ることで腹痛のほか、蕁麻疹や呼吸困難などのアレルギー症状が起きることもあるのですが、妊娠2ヶ月目から出産直前までは薬に対する過敏期が続くため、効き目の強い抗生剤等が使えず、重症化しやすいという危険性があります。

魚自体は妊婦の体に必要な栄養が豊富!

妊娠中に生魚を食べるのにはリスクもあると知ると、魚を敬遠してしまいがちですが、これはもったいないこと。魚には次のような、妊娠中に必要とする栄養も豊富に含まれています。

エイコサペンタエン酸

エイコサペンタエン酸(EPA)は魚介類から得られる高度不飽和脂肪酸の一種で、血液をサラサラにすることで、脳血栓や心筋梗塞などの成人病の発生リスクを軽減する効果が期待できます。

ドコサエキサエン酸

ドコサエキサエン酸も不飽和脂肪酸の一種ですが、EPAと同じく血液をサラサラにするだけでなく、悪玉コレステロールを減らし、血液をきれいにする効果も。脳細胞を活性化させる効果もあることから認知症の改善にも効果的な成分です。

カルシウム

煮干しなどの小魚の場合は骨まで食べることができるので、牛乳以上にカルシウムが摂取できます。魚の内臓からは、あわせてカルシウムの吸収をサポートするビタミンDが摂取できるので、妊娠中でも効率よくカルシウムが補給できます。

たんぱく質

魚は牛や豚肉と同様にたんぱく質が豊富。しかも魚に含まれるたんぱく質は体への吸収率が良く、消化されやすいことから、胎児の体を成長させる妊娠中の女性の栄養補給にもってこいなのです。

妊婦が注意すべき魚介類

妊婦さんにとって魚に含まれる成分で心配なのは、水銀でしょう。一言に魚といっても、種類によって含有量が違いますので、避けるべきものから順に具体的な名前をあげて解説をしていきます。

注意レベル:大

つぎのような大型の魚やマグロ類は、小魚を捕食することで水銀量が増えます。

  • 大型魚のうちのサワラやスズキ、メカジキや
  • マグロのうちのメバチマグロや本鮪

注意レベル:中

続いて、次のような中型の魚やマグロ類にも注意が必要です。

  • 中型魚のうちの金目鯛やぶり、鱈やマカジキ
  • マグロ類のうちのミナミマグロ

注意レベル:小

次のような小魚や貝類、甲殻類の場合は、比較的水銀の含有量が少ないことがわかっていますが、食べ過ぎには注意が必要です。

  • 小型魚のうちイワシやあじ、サーモンやマス、ニシンや秋刀魚、さばやカツオ、鯛
  • マグロ類のうちのビンチョウマグロやキハダマグロ、メジマグロ
  • 貝類のうちの牡蠣やムール貝、ホタテや
  • 棘皮動物のウニ
    甲殻類のうちのエビやカニ

なお、ツナ缶については、厚生労働省でも安全性が確認されています。

寿司をどうしても食べたい時に注視すべきこと

誤解をしてはいけないのですが、寿司や刺身は妊婦さんが絶対に食べてはいけないものではありません。安全に味わうためにも、次のような点に注意をしましょう。

新鮮なものを選ぶ

スーパーなどで刺身を買って自宅で食べる場合には、鮮度が良いものを選びましょう。賞味期限ギリギリのものは食あたりを起こす可能性が高いので気をつけましょう。

殺菌作用のあるガリを食べよう

寿司と一緒に出されるガリは殺菌作用のある生姜をつけたもので、生魚を原因とする食中毒を予防する効果が期待できます。冷え予防にも良いのですが、糖分・塩分とも高いので、食べ過ぎには注意が必要です。

炙りやボイル加工をする

寿司や刺身の中でも、加熱調理をしたものであれば安全です。生魚ではなくボイルしたタコやエビ、火で炙ってあるタタキなどを選ぶようにすると、寿司やでも安全に楽しめます。

信頼できるお店を選ぶ

お店の衛生状態をしっかり管理して、鮮度の良い寿司や刺身を出す、安全性に留意したお店を利用するのも大事です。回転寿司の場合は時間が経った寿司が回っている可能性が高いので、個別に好みのネタを注文することをおすすめします。

どのくらいなら刺身や寿司を食べてもいいの?

様々な料理と女性

日本の厚生労働省でも、魚介類は妊産婦にとって欠かせない栄養源として位置づけ、食べることを禁止しているわけではありません。「妊婦への魚介類の摂取と水銀に関する注意事項」という指針の中で、水銀の摂取量を週に合計80gまでにするように発表していますので、適度な摂取を心掛けましょう。

水銀に関する近年の研究報告において、低濃度の水銀摂取が胎児に影響を与える可能性を懸念する報告がなされている

出典:魚介類に含まれる水銀について|厚生労働省

妊娠中の刺身やお寿司を食べるときはよく注意しよう!

食の嗜好はさまざまで、お寿司や刺身好きな人は多いです。妊娠したからといって、好きなものを無理に我慢する必要はありません。量や食べ方を充分注意して、妊娠中も美味しく魚介類から栄養を摂りましょう。また、葉酸サプリなどを使用して妊婦さんに必要な栄養バランスを整えましょう。