不妊治療で使われるレトロゾール・フェマーラの情報を徹底解説

フェマーラに含まれる主成分がレトロゾール

フェマーラという薬をご存知でしょうか。元は乳がん治療用の薬として開発されましたが、現在では体外受精での排卵誘発目的など、不妊治療の現場でも使われています。

フェマーラは製品名で、主な成分はレトロゾールというアロマターゼ阻害薬になります。今回は、不妊治療におけるフェマーラ(レトロゾール)の役割について詳しく解説していきます。

そもそも不妊治療とは

不妊治療とは、不妊症に対する治療を言います。不妊症とは、避妊なしで性行為を行っても1年以上妊娠しない状態です。不妊治療は次のような段階を踏んで進んでいきます。

最初に検査をし、異常が無い場合は排卵に合わせた性行為を試す「タイミング療法」を行います。それで結果が出なければ、さらに排卵誘発、人工授精、体外受精、顕微授精と治療を変えて進んでいきます。

こうした治療は「ステップアップ治療」と呼ばれています。

フェマーラ(レトロゾール)の基本情報

フェマーラはノバルティスファーマ社が開発した薬で、前述のように有効成分であるレトロゾールが一般名になります。

ここではフェマーラの基本的な情報について見ていきましょう。

①作用と効果

フェマーラはアロマターゼという酵素を阻害することによって、エストロゲンという女性ホルモンの分泌を抑制する働きがあります。

それによって卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促し、卵胞を成熟させて正常な排卵に至らせるという仕組みになっています。

②重大な副作用

フェマーラ(レトロゾール)には、以下のような副作用の可能性があります。重大なものでは、血栓症や塞栓症、心不全、狭心症、肝機能障害などがあります。

他にも黄疸や中毒性表皮壊死症、多形紅斑などの副作用があり、国内臨床試験の結果では、41%の服用患者に副作用が見られたとのことです。

③服用に注意が必要な人

フェマーラ(レトロゾール)の服用に当たっては、次のような人は注意が必要です。

以前に薬を使用し、かゆみや発疹などのアレルギー症状が出た人、妊娠または授乳中の人、もしくは妊娠の疑いがある人などは、使用を避けましょう。また、他の薬を服用している人も要注意です。

④用法用量

フェマーラ(レトロゾール)の服用は、生理3日目から始めます。1日に1錠ずつ(1錠2.5mg)服用していき、それを5日間続けます。

食前食後など飲む時間については決まっていませんが、継続が大事な薬ですから、時間を決めておいた方が飲み忘れ防止には良いでしょう。

⑤値段と保険

フェマーラ(レトロゾール)は本来乳がん治療のために開発されたもので、不妊治療目的で使われる場合は保険の適用外になります。1錠あたりの値段は547.6円と、かなり高額になっています。

コストを抑えたい場合は他の製薬会社からジェネリックのレトロゾール錠が発売されていますから、医師と相談の上試して見るのもよいでしょう。

フェマーラ(レトロゾール)は不妊治療として2つの使い方がある

フェマーラ(レトロゾール)を不妊治療を用いる際は、以下のような2つの使い方があります。どんな使い方か見てみましょう。

①排卵促進剤としての使われ方

1つ目の使い方は、前述のように排卵誘発剤として使うものです。

すでに述べたように、フェマーラ(レトロゾール)はエストロゲンの分泌を抑える働きがあります。それによってFSHを増やし、卵胞の成長を促すことで、成熟した卵子を排卵させる効果があります。

②子宮内膜を厚くさせる薬としての使われ方

もう1つの使い方として、子宮内膜を厚くする目的で使用されることもあります。フェマーラは、やはりエストロゲンを抑制する作用によって子宮内膜を厚くする効果があります。

こちらは移植周期に子宮内膜を厚くしたいものの、他の方法では思うように効果が出ない場合に行われます。

フェマーラ(レトロゾール)が不妊治療で使われる理由

お医者さんと妊婦さん

本来乳がん治療のための薬だったフェマーラ(レトロゾール)ですが、このように現在は不妊治療薬としても使われています。その理由は何なのでしょうか。

①卵胞形成ホルモンを抑制する作用がある

すでに述べたように、フェマーラ(レトロゾール)は女性ホルモンの一種であるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌を抑制する作用があります。

その結果、脳が卵巣に対して「卵胞刺激ホルモン(FSH)」の分泌を増やすよう命令。FSHは卵胞を成長・成熟させる働きがありますから、それによって排卵を促すことができるのです。

②自然な形で卵胞の成長を促す

排卵誘発剤は他にもいろいろな種類がありますが、フェマーラ(レトロゾール)はそれらに比べ卵巣への刺激が少ないと言われています。

そのためより自然に近い形で卵胞刺激ホルモンを分泌させ、卵子を成長させられるというメリットがあります。

③子宮内膜が薄くならない

フェマーラ(レトロゾール)以外の排卵誘発剤の場合、子宮内膜を薄くしたり、子宮頚管に悪影響を与えてしてしまうこともあります。

子宮内膜が薄いと着床率や妊娠率が低くなってしまいますし、子宮頚管粘液の質や量が不足しても、同様に妊娠率は下がってしまいます。

④身体への負担が少ない

体への影響が少ないというのも、フェマーラ(レトロゾール)のメリットの1つです。

フェマーラの使用はごく短期間ですし、服用後は比較的すぐに体外へ排出されるため、余計な負担がありません。また卵巣に直接刺激を与えるわけではないので、卵巣の機能を損なうおそれもありません。

どんな場合にフェマーラ(レトロゾール)を排卵促進剤として使う?

考える妊婦さん

フェマーラ(レトロゾール)が排卵誘発剤として使われるのは、以下の様な場合です。

すなわち、卵巣年齢検査の結果が思わしくない人、40歳を過ぎて子宮卵巣機能の低下が見られる人、クロミッドなどの排卵誘発剤では効果が得られない人などがこれにあたります。

また子宮内膜症の患者や、過去乳がんにかかったことのある人などが対外受精する場合にも用いられます。

これらに加え、卵胞がまだ存在していること(卵胞を育てる目的のため)が使用の条件となります。

フェマーラ以外の不妊治療

妊婦さん

フェマーラ(レトロゾール)以外にも、不妊治療に用いられる薬はあります。続いて、はそうしたものについて見ていきましょう。

①クロミフェン療法

クロミフェン療法は、一般的な不妊治療で用いられるものです。クロミッドという排卵誘発剤を内服することで、卵巣を刺激してFSHを分泌させる効果があります。

排卵の確率は75~80%で、そのうち妊娠の確率は25~30%となっています。その一方で、多胎妊娠(双子以上の妊娠)が起こりやすいという特徴もあります。

②ゴナドトロピン療法

ゴナドトロピンとは脳下垂体から分泌されるホルモンで、FSHと黄体形成ホルモン(LH)の2種類があります。

ゴナドトロピンは排卵を起こす上で重要な役割がありますが、この療法はhMG製剤とhCG製剤を注射することによってゴナドトロピンを補給し、排卵を促すというものです。

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フェマーラ(レトロゾール)で不安な時はお医者さんに相談してみよう

OKを出す女医さん

フェマーラ(レトロゾール)の服用にあたって不安がある場合は、1人で悩まずに医師に相談してみましょう。

フェマーラは比較的安全とは言え、前述のような重篤な副作用の可能性も否定できません。また保険適用外のため、費用もそれなりにかかります。そうしたもろもろの不安は、1人で抱えるよりも専門家に相談した方が良いでしょう。

またかかりつけの医師だけでなく、セカンドオピニオンとして他の病院で相談するのもおすすめです。

フェマーラ(レトロゾール)が自分に適しているのか考えよう

このように、フェマーラ(レトロゾール)は短期間の使用で排卵を誘発する効果があります。しかもクロミッドよりも妊娠率が高く、子宮内膜症の人にも使用が可能となっています。

その一方で副作用の可能性や保険適用外などのデメリットもありますから、使用にあたっては良く考えた方が良いでしょう。セカンドオピニオンも活用して、十分考慮してから治療に臨んでください。