化学流産は誰にでも起こりうる
「化学流産」という症状をご存知でしょうか?一度妊娠しかけてたものの、すぐその状態が終わってしまうことを言いますが、実はこうしたことは珍しくありません。化学流産は、多くの女性に起こりうるものなのです。
今回はべビ待ちさんが知っておきたい化学流産の症状や原因、起きる時期などについて詳しく解説していきます。
化学流産の簡単な説明
化学流産とは、妊娠検査薬で陽性反応が出た後、超音波検査による妊娠確認の前に流産してしまう症状を言います。正式な医学名称は、「生化学妊娠」というものです。
一般的な流産は、一度超音波検査で「胎嚢」という部分が確認されたものの、22週未満までに妊娠が終わってしまうものを言います。それに対し化学流産の場合は、最初の検査ですでに胎嚢が確認できない状態となっています。
なぜ化学流産は検査薬から陽性反応が出る?
妊娠検査薬は、受精卵が子宮内膜に着床したサインを感知する仕組みです(妊娠4週以降)。受精卵が着床すると「hCGホルモン」というホルモンが分泌され始めますが、検査薬はこのホルモンを検出して陽性反応を出すのです。
このホルモンは流産後もしばらくは分泌されることがあるため、化学流産が起こっても検査薬が反応する場合があるわけです。
化学流産の原因
化学流産の原因は特定できないことも多く、はっきりしたことは分かっていません。しかし、大半の原因は染色体異常ではないかと言われています。
受精卵の時点では、約40%ほどの割合で染色体異常を起こすと言われています。着床時期に入る段階でも約25%の受精卵が染色体異常を持つとされており、妊娠検査薬で陽性反応が出た段階でも、約10%ほどの受精卵に染色体異常があると言われています。
こうした染色体異常がある場合、受精卵の発育が止まる可能性が高くなると考えられます。
化学流産が起こる時期
妊娠検査薬で正しい反応が得られるのは、通常妊娠4週目以降です。それに対し、超音波検査で胎嚢が確実に確認できるのは妊娠5~6週ごろ。ですから多くの場合、化学流産は妊娠4週から妊娠6週までの時期に起こると考えられます。
一方、最近では妊娠4週未満で検査が可能な「早期妊娠検査薬」も販売されています。こちらで陽性反応があった場合は、もっと早い時期で化学流産が起こっている可能性もあります。
化学流産の症状や兆候
言葉の響きから、何か大きな症状がありそうな化学流産。しかし、実際には自覚症状が無い場合も多くなっています。
ここでは、考えられる化学流産の症状や兆候について見ていきましょう。
①生理前に妊娠初期症状がある
化学流産の場合、前述のように具体的な自覚症状がないことも多くなっています。しかし、人によっては妊娠初期の反応を起こすこともあります。
生理前のべビ待ちが倦怠感や吐き気などを感じた場合は、化学流産の兆候かもしれません。
②基礎体温が下がり、検査薬の反応が弱い
化学流産の場合妊娠検査薬の反応が弱く、しかも何度試してもはっきりした反応がないことがあります。
またこうしたことに加え、妊娠すると高温期に入るはずなのに、逆に基礎体温が低くなった場合も化学流産が疑われます。
③ドロドロとした血液
化学流産を起こすと、通常の生理よりもドロリとした出血が起こることが多くなっています。
さらに場合によっては、半透明の塊りが混じっていることもあります。これらは厚くなった子宮内膜が剥がれたり、形成途中の胎嚢が流れ出たものです。
化学流産を何度も経験することはありえる
冒頭で述べたように、化学流産は誰にでも起こる可能性があります。さらに、1人の女性が何度も化学流産を繰り返すこともあり得ます。
こうしたことがある場合は、着床障害(着床不全)を起こしているかもしれません。もし検査薬で陽性反応が出た後化学流産を繰り返しているなら、1度婦人科で診てもらった方が良いでしょう。
後述するように、着床不全は治療により改善が可能な場合もあります。
化学流産の予防方法
化学流産を防ぐためにできることはあるのでしょうか。残念ながら予防が完全にできるわけではありませんが、以下の方法でより妊娠しやすい体質になることはできます。
①冷え性を改善する
妊娠しやすい状況を作るには、子宮や卵巣の働きを高める必要があります。しかし、体が冷えているとそれらの機能も弱ったままです。
そのため冷えを解消する必要がありますが、それには血行の改善が不可欠です。運動の習慣などで、血行を促進させる工夫をしましょう。
②禁煙する
受精や着床の確率を高めるためには、卵子の質や卵巣の状態が重要になります。しかし、喫煙はこれらの状態を悪化させる原因となります。
タバコは女性ホルモンの分泌を阻害して卵巣機能を低下させたり、活性酸素を増やして卵子を劣化させます。妊娠を望むなら、できれば禁煙した方が良いでしょう。
③着床障害の検査を受診する
着床障害とは、体外受精や顕微受精での受精卵を移植しても、うまく着床しないことが繰り返される状態を言います。
着床障害の原因はさまざまですが、検査によって解明できる場合もあります。その場合は手術などにより治療できる可能性もあるので、症状が疑われる場合は検査を受けてみた方が良いでしょう。
④適度な運動をする
前述のように、妊娠の確率を上げるには血行を促進し体温を上げる必要がありますが、それには適度な運動が有効です。
運動と言っても筋トレのようなハードなものではなく、ウォーキングなどの比較的軽いもので構いません。なるべく毎日続けることで、血行も促進されるはずです。
⑤栄養バランスを整える
妊娠の確率を上げるためには、バランスの良い栄養摂取も欠かせません。偏った食生活では、卵巣機能や卵子の状態も維持できなくなります。
過度なダイエットや偏食は避け、きちんと3食取りましょう。また、なるべく決まった時間に食事するのもポイントです。
妊娠超初期の栄養補給には葉酸サプリがオススメ
妊娠3~4週ぐらいまでの時期を「妊娠超初期」と呼びますが、この時期は特にバランスの取れた栄養摂取が大切になります。しかし、食事だけではなかなか必要な栄養が摂れないのも事実です。
そこで便利なのが、葉酸サプリの活用。葉酸サプリの中には葉酸以外にも、ビタミンやミネラルなどをバランスよく含むものが少なくありません。こうしたサプリを使うことで、偏りのない栄養摂取が可能になります。
化学流産で落ち込みすぎないようにしよう
以上のように、化学流産は決して特別な症状ではなく、誰にでも起こりうるものです。ですので、超音波検査で妊娠が確定できなくてもあまり失望しすぎないことが大切です。
もちろんがっかりするのは当然ですが、化学流産したからと言って妊娠ができないわけではありません。次のチャンスに向けて、前向きにトライするよう気持ちを切り替えましょう。